以前の記事で「早熟な子どもは少年サッカーで終わってしまう」という記事を書きました。身体能力にたよったサッカーをしていると将来、周りの選手の身体能力が追い付いてきたときに通用しなくなって、サッカーが面白くなくなって辞めてしまう。という内容でした。
中学生(ジュニアユース)の指導をして感じたのは、身体能力にたよったプレーをしている子どもでも、中学生では通用します。クラブチームだとちょっと厳しいですが、中体連(中学校の部活)だと身体能力でゴリゴリ、プレーをしている選手が、まだまだ活躍できます。
中学生、高校生で困るのが”判断ができない選手”
カテゴリが上がれば、判断ができるようになると思っている少年サッカーの指導者に知って欲しい。歳を重ねても、判断ができるようにはなりません。選手が考え、行動する訓練をすることで徐々にできるようになります。いきなり「今日から考えて行動しなさい」と言っても子どもはパニック。少年サッカーの年代から考えてプレーする訓練が必要です。
判断ができない選手、プレーの基準が間違っている選手はいくらスキルがあっても使いずらい。技術や身体能力があっても判断ができない選手は困ります。レベルの高いサッカーになれば、なるほど判断のスピードが求められます。
どうして判断が必要なのか
サッカーはオープンスキルのスポーツ。自分が実行したいプレーを妨害してくる相手がいます。なので自分の思い通りにプレーができません。相手との駆け引きをして実行するプレーを変えること(判断)が必要。
サッカーは攻撃と守備が絶えず、入れ替わります。攻めていても、ボールを奪われた瞬間、守備に切り替わります。なので、守備をする準備をしておかなければなりません。そして、守備時も、次の攻撃を狙い続けなければいけない。常に状況を確認して、これから何が起こるかを予測し、最適なプレーを選手自身が行うことが必要。
つまり、ドリブルで相手をかわすのか、パスをするのか。どこにボールを運ぶのか、自分が移動してパスを貰うのか。カウンターを狙うのか、ボールキープなのか。常に状況を把握して、判断してプレーを選択しなければなりません。サッカーのレベルが高くなれば、なるほどプレースピードが上がります。
いくらボールを扱うスキルが高くても、判断が遅い、間違った判断をする選手は役に立たない。
判断を身につけるのは簡単ではない
判断力(戦術理解力)を高めるのは簡単ではありません。子どもが自分で考え、行動できるようになること(自立)、そしてサッカーを理解しなければなりません。
残念ながら、日本の少年サッカーはボランティアコーチに教えられていることが多い。そして、そのボランティアコーチは無資格で指導をしている確率が高い。サッカーの質は、指導者のレベルで変わってきてしまいます。もちろん、優秀な指導者もいますが、少数派なのが現状です。
子どもたちは勝つためにプレーするように育てられるのではなく、優れた選手になるように育てられる必要がある。
ボランティアチームでは、どうしても子どもの”将来”よりも”いま”にしか目を向けられない指導者や保護者が多い。”いま”しか見れない指導者は勝つためのプレーをさせます。勝つためには子どもに判断をさせるより、指導者が教えたことを指示通りにプレーをさせます。判断力をつけるための訓練が足りない。
判断を訓練が足りない子ども
少年サッカーで勝つためにプレーをするように育てられるとは、どういうことかというと大人の思い通りに動く子どもに育てるということ。大人が思っていることを自動的にやってくれる便利な子どもは、判断をすることが少なくなります。
例えば、トレーニングや試合で「この場合は、このプレーするんだ!!」「右にパス!!」「シュートだろ!!」なんて指示を出し、言われたことをソツなくこなす子どもは判断をしていません。コーチの思い通りに子どもが動いている。勝つためのプレーをするようにコーチに指示を受けている子どもは、判断の訓練が足りていない。
指導者レベルが低いのが問題なのですが、現在の少年サッカーを取り巻く環境では判断の訓練が足りていません。JFAの公認指導者養成講習会でも散々言われていますが、ボランティアチームのお父さんコーチは、気づいていない。教えた通り子どもたちがプレーをすると試合に勝つことができるのですが、優れた選手には育たない。残念だけど、、、。
急に判断ができるようにはならない
サッカーは選手自ら考え、プレーをすることが必要です。例え、技術が足りなくても判断ができる子どもは上の年代、カテゴリに行ってスキルが足りないと思えば、自らトレーニングします。ただ考えることは急にできるようにはならない。だから、小学生のうちに選手として自立させる必要があります。
今まで「あーしなさい。こーしなさい」といわれた子どもが、いきなり「今日から自立して生きていきなさい」と言われて何ができますか?
部活のようにできる子ども、そうでない子どもがいるようなチームであれば、あまり関係ないかもしれませんが、セレクションを行うクラブチームでは、判断の訓練をしていない子どもは戦力外になる確率が高い。サッカーはすべてのシチュエーションをコーチングすることは、ほぼ不可能なスポーツ。選手が自ら考え、判断してプレーを選択することが求められます。
中学生で伸びる子どもにするために
判断の訓練をしていない子どもは、中学生、高校生になっても判断が急にできるようになることはありません。少年サッカーの年代で、指導者に言われたプレーをしている子どもは、中学生や高校生になったときに、技術があっても試合に出れない、試合に出ても活躍できない選手になってしまいます。
子どもたちは勝つためにプレーするように育てられるのではなく、優れた選手になるように育てられる必要がある。
少年サッカーの”いま”ではなく”将来”のことを考える必要があります。そのためにも判断をする訓練、考えてプレーができるようにトレーニングを行うことが大切。
将来、サッカーが上手くなる子どもにするために子どもを自立させましょう。普段の生活での自立、サッカーでも自立をさせることで将来伸びる子どもになると思います。
子どもを自立させるには、指導者だけでなく保護者を含む子どもの周りの大人の協力が必要です。
大人が変われば、子どもも変わる。
子どもたちの将来のために私たち、大人が変わるときなのかも、しれません。
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