少年サッカーで成長の早い子どもは小学5年生くらいからグングン身長が伸びますよね。
成長期の子どもの身体は大きく変化しています。骨が伸び、身長や体格も大人に近づいていきます。
そうすると今まで通り身体を動かすコトが難しくなる。今までの感覚で身体を動かそうとしても動かせない。
成長期の子どもが出来ていたプレーが出来なくなり、急にパフォーマンスが落ちた場合は「クラムジー」かも。
指導者や保護者がクラムジーに対して理解をすることで子どもが精神的にも肉体的にも「上手くいかない。何をやってもダメ」という状態になったときに接し方が変わってくるハズです。
クラムジーとは?
クラムジーとは成長期の子ども特有のスランプです。
成長期の急激な身体の成長スピードに頭の中や感覚がついていけず、パフォーマンスが一時的に落ちてしまう現象を「クラムジー」と呼んでいます。
クラムジーとは"不器用"とか"ぎこちない"と言う意味なんですが、ちょうど成長期のタイミングでそれまで出来ていたプレーがぎこちなくなり出来なくなってしまうんです。
クラムジーの時期
クラムジーは成長期で一気に身長が伸びる時期に起こりやすい現象です。ちょうどゴールデンエイジの終わりに起こります。
というかゴールデンエイジが終わるのはこのクラムジーが原因かも知れません。ゴールデンエイジはコーディネーション能力が飛躍的に上がり「即座の習得」と言ってどんな動作もすぐに身につけるコトが出来ます。
ゴールデンエイジは身体の成長が比較的ゆっくりと行われるため、感覚の違いも感じることがなく身体を動かせるんです。
そしてゴールデンエイジが終わり、ポストゴールデンエイジに入るタイミングは第二次成長期とカブるため、身体が急激に成長し感覚がズレることでクラムジーが起こります。
感覚がズレる原因は
ボールを投げる、蹴るなど全身運動をする場合、足や手の長さが1cm違うとバランスを取るのが難しくなります。
さらに身長が伸びていることによって視点も変わります。今までと観える風景が変わってしまうんですね。
この少しずつの違いによって感覚がズレてしまうんです。
実際に第二次成長期を経験された方と多いと思うんですが、感覚の微調整が難しいんです。
例えば、サッカーのキックは全身運動で右足でボールを蹴る場合の左手はバランスを取るんですがその感覚。などホントにちょっとしたコトでも感覚がつかめない。
今まで簡単に出来ていたコトが上手くいかず、原因不明のスランプに陥ってしまうのです。
辛いクラムジーはいつまで続く?!
実際にクラムジーはいつまで続くのかというと明確に答えるのは難しいんですが、平均的な成長を考えると13歳から15歳くらいの間がクラムジーになりやすい。
ちょうど身長が伸びるピークの頃がクラムジーになりやすい傾向があるようです。一般的に身長が伸びるピークは男子で13歳半くらいから15歳と言われています。
ただ、子どもの成長には個人差があります。その個人ごとに思春期を迎える時期も違うし、成長が止まる時期も違います。
小学生でこの身長が伸びるピークを迎える子どももいますし、中学生の終わりごろに身長が伸びるピークの子どももいます。ただ身長が伸びるピークが終わり、身体の成長が緩やかになるとクラムジーは終わります。
クラムジーの克服方法
クラムジーになる子どもは何となく体調が悪くなったり、サッカーの練習が面白くなくなったり、はっきりした理由はないけど「サッカーをしたくない」とサッカーから遠ざかることが多いそうです。
クラムジーをどうやって克服するかは難しい問題ですが、焦らずに時期が来るまで待つことしかありません。先ほどもお話しましたがクラムジーは身体の成長が緩やかになると終わりになります。
身体の成長の仕組み上どうしても克服するための手段はなさそうです。クラムジーが改善するまで待つこと以外に方法はなさそうです。
クラムジーと向き合う
思い通りに身体が動かないのは非常に大きなストレスになります。クラムジーでのスランプで慌てて以前の感覚を追い求めても結局、上手くいかずに「もうダメだ」とあきらめてしまうことにもなりかねません。
身体が大きくなり、プレーの幅も広がる時期ですが新しい技術を身につけようとするよりは「今まで習得したスキルが正確に出来るようになるまで繰り返し、感覚がピッタリくるまで待つ」ことが大切なのではないでしょうか。
クラムジーの期間は、身体の成長と感覚がズレていると思い通りに身体が動かないので、無理をすると大きなケガに繋がってしまいます。また、成長期特有の成長痛などと同時に起こる場合もあります。
しかしクラムジーが終われば、身体も大きくなり今までより力強いカラダを手に入れ、出来なかったプレーが出来るようになります。そのための準備期間がクラムジーです。
クラムジーは飛躍のための準備期間
「サッカーが下手になった」「サッカーが楽しくない」とクラムジーの子どもは感じてしまいます。そんな子どもたちには今まで通り練習をしているのに上手くいかない。
どんなに頑張っても目に見える結果に結びつかない。クラムジーという現象は誰もが経験する可能性のある”伸び悩み”の時期です。頑張って努力したことは無駄にならないと子どもを前向きな気持ちにしてあげるのが指導者や保護者など子どもの周りにいる大人の役目かもしれません。
この辛い期間が過ぎたら活躍できるようになる。そのために今は耐える時期であると子どもたちに伝えることが必要なのではないでしょうか。
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