小学校低学年の子どもたちのサッカーはボールを中心に相手、味方が密集してボールの奪い合いをします。
いわゆる団子サッカー。
少年サッカーの指導者の方には、団子サッカーを否定するコーチも多く、ポジションを決めてチームとしてシステマティックにサッカーが良いと考える方が多いです。
私は年代によっては団子サッカーでも良いと思っています。選手たちの成長に合わせて団子サッカーのメリット、デメリットをサッカーの原理原則に従ってコーチングをしていけば良いのです。
サッカーの守備の原理原則には集結というのがあります。ボールを奪うときはボールの周りに集結し(人数を集めて)ボールを奪う。相手に自由にさせない為に集結を行うのです。広がってしまっては相手にスペースを与え、自由にプレーされてしまいます。
指導者が守備の原理原則を知らずに団子サッカーを否定してしまってはいけません。
- 守備(相手ボール)のときは、団子サッカーでも良い。
- 攻撃(味方ボール)のときは、幅と深さを取る。
子どもたちのサッカーを否定するのではなく、通用できなくなったときにどうすれば良いかをコーチングをする必要があるのです。
団子サッカーの心理
団子サッカーをしている子どもたちをしっかり観察すると真剣にボールを追いかけています。
ボールを奪いたい、ボールに触りたいと思っています。まずはその気持ちを持って欲しい。
相手のボールを奪いに行くには、サッカーの原理原則の通りボールを前に運ばせない。ボールへの集結をする。相手に自由なプレーをさせない。ということが団子サッカーで出来ているのです。
団子サッカーへの指導
ボールに近い選手(ファーストディフェンダー)は、チームとしてボールを奪うタイミングでボールへのアプローチをしなければなりません。
低学年のときに団子サッカーをしていないチームは高学年になってもファーストディフェンダーがいないことが多いです。
守備時に全員が自陣に急いで戻り(リトリートし)、守備の陣形を整えるチームが多いように感じます。おそらく指導者の方がポジションを教え込んでいます。
「君はディフェンスのポジションだから、役割は後ろで守るんだよ。」とか「なんでフォワードなのにボールを追いかけて戻ってくるんだ。」といった指導です。
ポジションの役割も重要ですがこのような指導では闘利王や牧野のようなディフェンダー(前にスペースがあるからドルブルをする)や原口の様にシュートを打たれそうだからキーパーの後ろまで走って戻る。といった感覚が身に付きません。
守備時は団子サッカーは正解
守備時はみんなでボールを奪いに行くことは良いことです。サッカーでゴールを奪われないようにするには、ボールを持っている選手を自由にさせない。
低学年の守備の指導ではボールを奪いに行くことが必要だということを理解させるのが先決です。
低学年のポジショニング指導
私たち指導者がサッカーの原理原則を理解して
「相手がたくさんいるよ。ボールを奪われちゃうね。周りに相手がいないポジションの選手がいるよ。」とか
「ボールを持っている味方と自分の間に相手がいなければ、パスがもらえるんじゃないかな?どこだったら、ボールが貰えそう?」と声を掛け
子供たちに気付かせることが出来れば良いのです。少しずつパスコースやポジショニング、周りを観ることを指導していきます。
低学年でそういったコーチングを受けていない選手はどうなると思いますか?
試合でも自分の決められたポジションにいるだけで味方が困っているのにフォローに行かない。といった選手が非常に多くなってしまいます。
ポジショニングのトレーニング
ボールを奪った後(守備⇒攻撃の局面で)、味方ボールの時にどのようなポジションを取れば良いかのトレーニングは、2vs3や4vs4の少人数のゲームを行い、意識付けをさせるコーチングをしていくと徐々にポジショニングについて理解が出来るようになります。
攻撃時の原理原則を頭にしみ込ませていくことが必要です。
ゲーゲンプレス
ユンゲル・クロップ監督(ドイツ:ドルトムント、イングランド:リバプール)の代名詞であるゲーゲンプレスを知っているでしょうか?
ゲーゲンプレスの仕組み
簡単に説明すると
ゲーゲンプレスの原則
- 攻撃時に相手ゴールの近いエリアに縦パスを入れる。
- 相手に奪われたら、すぐに攻撃⇒守備の局面に移行する。
- 組織的なプレッシャーを掛け、狭いエリアで数的有利にし、一気にボールを奪う。
- ボールを奪ったら、プレッシャーの勢いで数的有利のまま一気にゴールを目指す。
アプローチの仕方やオフザボール時のポジショニングなど細かい戦術はありますが、数的有利を作る。
すなわち、選手間の距離が短く、奪われた後にすぐ奪い返せる、攻撃時もパスコースをたくさん作れる様な戦術です。
相手ボール時に数的有利を作り、ボール奪取からショートカウンターで相手ゴールまで一気に選手が殺到し、ゴール前で数的有利の状態を作り出し一気に得点にまで持っていってしまいます。
これって究極の団子サッカーではないでしょうか?
最後に
団子サッカーを否定するのではなく、攻撃時に相手が近い場合や味方が近すぎるとプレーがしにくいことを子供に気付かせ、子供の成長の過程で団子サッカーから自然に脱却できる様に指導する必要があります。
- 守備(相手ボール)のときは、団子サッカーでも良い。
- 攻撃(味方ボール)のときは、幅と深さを取る。
指導者が認識をし、攻撃時にどうするかをコーチングする必要があるのです。出来るようになると面白いサッカーを見せてくれます。
あなたの指導は選手のためになっていますか?
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