少年サッカーで戦術、戦略は教える必要はあるのか?
結構、少年サッカーの熱いコーチ陣の飲み会なんかで議論になるのですが、「育成年代で戦術はいつから教えれば良いか」
サッカー経験者の指導者の多くは、低学年のうちから、ポジションを決めてサッカーをさせようとする傾向が強い。特に若いお父さんコーチに多いですね。逆に少年サッカーではボールスキル、技術を重点的に身につけさせれば良い。と考えるコーチもいます。
指導者もたくさんいるので、人それぞれだと思いますが、私は小学生低学年のうちから、ポジションを決める必要はないと思います。私は2010年より少年サッカーの指導に携わり、日本サッカー協会公認のC級コーチライセンスを持っています。たくさんの子どもたちを観てきて、いつ、どこで、どんなプレーが求められるかを判断できるようになるのは、早い子で小学3年生位から。
小学校低学年のうちは、ポジションを決め、コーチが指示を出し、それを実行できる子どもがいると勝てます。でもソレって指導じゃない。大人の”エゴ”、指導者の”エゴ”。それじゃ子どもは成長しない。
少年サッカーで教える戦術は”個人戦術”と”技術”
世界のサッカー先進国も、日本サッカー協会も子供の年代に合った指導を公開しています。
育成年代のサッカー環境にかかわる指導者や保護者、審判を含めたすべての大人は、子どもたちにとって何が一番かを考えて判断する必要があるのではないでしょうか?
子どもの成長と戦術
少年サッカーの指導をする場合、子どもにかかわる大人が気をつけなければならないことがあります。
子どもは小さな大人ではない
これは本当なら指導者だけでなく、保護者やサポーターの皆さんにも忘れないで欲しい。子どもの脳は発達中。たくさんのことを認識することができません。良いか悪いかの判断は、大人に怒られるかどうかだったり、褒められるかだったり、単純な判断しかできない。
大人のように状況によって、プレーを変えることはできません。
ダメな指導をするコーチ
小学校低学年の子どもたちでも、大人(コーチ)が教えた通りに動くことはできます。最近の子どもたちは、小さな時からスクールやサッカーチームなどでボールを触っているので、教えられたとおりにプレーをすることができる子どもが多い。
でも、何でそのプレーが必要なのか、どうしてダメなプレーかの理由を理解できません。そんなことない。教えていると反論をしてくるコーチの方もいます。でも、そんなコーチは理由を分かっていないことが多い。「Jリーグのチームもそうしているから」とか「普通、そうでしょ?」
理由になっていない。
サッカーの指導について勉強している指導者は、教えた通りにプレーをさせることはありません。プレーの基準を教えても「このときは、こうする」はない。あったとしても理由をしっかり説明しています。良い指導者はどうして、そのプレーをするかを理由を含めて理解させる。
戦術を教えるタイミング
話を理解できるようにならないと戦術を教えられない。いつ、子どもが理解できるようになるかは、脳の発達に関係しています。個人差はありますが、小学校4年生くらいからチームでも自分の立場やチームのために何をしないといけないかが判断できるようになります。その頃から徐々に戦術について理解できるようになります。
中には、精神的に早熟で理解できる子どももいますがレアケースです。だからJ下部も4年生から本格的に指導を始める。精神的に早熟な子どもでも3年生から数人セレクションで獲得するくらい。
小学生に身につけて欲しい戦術
小学校の低学年でポジションを決めて、思い通りにプレーさせることで勝てます。ただ、チームが変わったり、ポジションが変わったりしたときに何もできない選手になってしまう確率が高い。少年サッカーは卒業したら、部活やクラブチームなど新しいチームに移ります。もしくは、高学年になって指導者が変わることもあるかもしれません。
日本サッカー協会は、リレー形式で育成をして行こうと考えています。小学生時代の指導者から、中学生年代の指導者へ、中学高時代の指導者から高校の指導者へ。リレー形式で子供たちを育成していこうとしています。これはJFAの公認指導者講習会でも散々、言われています。でも、中途半端な指導(指示を出す、コーチの思い通りにプレーさせる)を行っていると次の年代の指導者に引き継げない。
子どもがプレーを選択する基準
サッカーのプレーの判断基準は、サッカーの原理原則に則って行われなければなりません。サッカーは相手より多く点を取るスポーツです。だから、ゴールを狙わなければならないし、相手からボールを奪わなければならない。これは、中学生になろうが、高校生になろうがプロになっても変わらない。
点を取る方法やボールを奪う、ゴールを守る方法(戦術)は変わっても、変わらないのが原理原則。
この原理原則を戦術の前に理解させる必要があります。これはFIFAがサッカーのルールを変えない限り(現実的にありえませんが)絶対に変わらない。このサッカーの目的「相手より多く点を取る」があるから戦術につながっていく。サッカーの戦術とは効率的に相手より多く点を取るためにどうするか。すなわち、サッカーの戦術の根本。サッカーをする子供たちは知らないといけないこと。
戦術を理解するということは判断基準を持つということ
小学生は身体も脳も成長過程です。その成長過程の子どもたちは大人のように考えられるハズはない。
子どもは小さな大人ではない
知識も経験も少なく、これから、たくさん学び経験をして大人になっていく途中。失敗を重ね、成長をしていく過程です。指導者が先回りして戦術を教えるということは子どもが成長をするチャンスを奪っているということ。
どうプレーをすれば良いのかを教えるのではなく、プレーの判断基準を教えていく。それが戦術理解につながっていく。サッカーは11人で協力して相手からゴールを奪うスポーツです。ただ、11人のグループ戦術はさすがに小学生で理解できる子は少ない。オランダでも、ドイツでも、スペインでもU-11やU-12でグループ戦術を指導していることはありません。何故かというと理解できる脳を持っていないから。
少年サッカーで教える戦術
小学生、中学生は育成世代です。年代に合った指導をすることが必要です。少年サッカーで教える戦術は、個人戦術で充分です。個人戦術というと1対1の戦術のように感じますが、ちょっと違います。少年サッカーで教える必要のある個人戦術については、別記事でまとめようと思います。
子どもは成長過程です。指導者が忘れていけないのは「子どもの成長過程に合わせた指導」です、子どもの成長に合わせて指導をして行きましょう。子どもたちが判断してプレーできるように判断基準を教えることが大切です。上手くいったのかダメなプレーだったのかを選手自身が判断できなければ上達はありません。その基準がコーチに言われたから、コーチに怒られるからでは、子どもたちが戦術を理解することはありません。
以下の記事で少年サッカーを指導する場合に読んでもらいたい本を紹介しています。この記事で何となくでも変わろうと思う指導者がいたら、ご覧ください。
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