少年サッカーでコーチとして指導していると「なんで出来ない?」「こうすれば良いのに」と考えることって良くありますよね。
「次のトレーニングで改善しよう」と考え、トレーニングを行うのですが、子どもたちのプレーがなかなか改善できないなんてことありませんか?
ソレって『声の掛け方』が悪いのかもしれません。
「ああした方が良いよ」「こうしてごらん」などと優しく声を掛けているので指示ではない。「優しく教えているので問題ない」と思っていませんか?そのコーチングは指示です。だって、子どもたちが判断する機会を奪っていすよね?
そんなことを言われると「どうやって声を掛ければ良いか」がわからなくなります。具体例を出しながら、声の掛け方について解説してみます。
コーチや保護者が考え方を変えなければ、子どもたちは変わりません。どうやって声を掛ければ、子どもたちの意識を変えることが出来るかを解説します。
サッカーの”ミス”はなぜ起きる?
少年サッカーを指導しているとコーチは「そうじゃないだろ」「こうすれば良いのに」と思うことが、たくさんあります。
例えば
などなど。コーチをしていると声を掛けたくなるタイミングですよね。改善ポイントを見つけた!! って気分になるタイミングです。
なぜ、その「ミス」は起きてしまったのかを考えたことがありますか?
少年サッカーのコーチをするのであれば、指導者として訓練をする必要があります。その第一段階としてミスがどうして起きたのかをしっかりと把握することが大切。
なぜならミスの原因がわからなければトレーニングで改善できないから。
ミスを改善できないトレーニングは『トレーニングのためのトレーニング』になる確率が高い。技術を身につけることは出来るかもしれませんが、その技術は試合で使えません。
”ミス”の原因は何?
少年サッカーの指導を行う場合、コーチはプレーが「上手くいった」や「ミスをした」ではなくてどうして上手くいったのか、どうして失敗したのかを考えなければいけません。
プレーの改善をするためにコーチングを行うのですが、ミスの原因と違う声掛けをしている、いわゆるズレた声掛けをしているコーチを良く見かけます。
声の掛け方で子どもたちのプレーを改善することが、コーチングの目的ですが”ズレた声掛け”を行っていると改善できません。
ちょっと具体例を挙げてみますね。
少年サッカーでドリブルばかりして奪われる子どもっていますよね。なんでドルブルばかりをすると思いますか?
その子がドリブルばかりするには原因があるハズです。コーチは
「ドルブルだけじゃないよ、パスもあるよ」と声を掛けています。
実際にそのコーチに話を聞くと「その声の掛け方で子どもが気づくから良い」と思うそうです。確かに気づかせるコーチングのような気がしますよね。問題ないと思いますか?
この声の掛け方では改善できないズレた声掛け。この声掛けでは子どもたちのプレーは改善できません。
その理由は、この声の掛け方の原因は『その子どもには、パスの選択肢がない』から。パスの選択肢を教えようとしています。
その子はパスの選択肢がない? そんなことないですよね。だって幼稚園児でも「パス!!パス!!」って叫んでますよ。パスを知らないなんてことはない。
おそらく、その子はパスの選択肢を知っているけど出来ないんです。周りの状況が確認できていなくてパスが出せないのであれば、周りを確認するように声を掛ければ良い。
そうすると声の掛け方は変わってくるハズですよね。例えば、周りの状況が確認できてなくてパスが出せないのであれば「周りを観えてる? どっかにパスを出せる選手いない?」とか「周りに相手選手がたくさんいるね。そこでドリブルしたら取られちゃうよ。どうすれば良い?」
パスを出すための準備ができていないのであれば、「ドコにトラップすれば、パス出せるかな?」。とりあえずのプレーで、ドリブルをしているのであれば「ボールを奪われないためにはどうすれば良かった?」など”ミスの原因”で声の掛け方は変わってきます。
どうして”ミスをしたのか”を考える
少年サッカーに限らず、コーチングをする場合は起きた現象について結果だけでなく、過程について考える必要があります。「どうしてミスをしたのか」を子どもに気づかせる必要があるからです。
私は指導中に「なんで?」「どうして?」と子どもたちのプレーに対して疑問を持つようにしています。「なんでそのプレーを選択したんだろう?」「どうして今、出来なかったんだろう?」と考えることで声の掛け方が変わるからです。
少年サッカーの子どもたちの”ミス”の原因は大きく分けて”判断ミス”と”技術的なミス”のふたつです。ミスの原因を分析する上で必要なコトなので解説します。
判断ミスの原因は『ふたつ』
サッカーのプレーの判断ミスは
特に少年サッカーでは『状況確認不足』が原因で判断ミスになってしまうコトが多いと感じます。少年サッカーでも指導をされているチームが多く、子どもたちもどうすれば良いかはある程度、理解しているように見受けられます。
わからなければ、コーチングしていけば良い。少年サッカーをしている子どもたちは知らなくて当たり前だと思います。そこは教えれば良いんです。
少年サッカーのコーチとして判断ミスは『状況確認』で起きたのか『戦術理解』が出来ていなくて起きたのかを考えてコーチングする必要があります。
サッカーで選手たちは周りの状況によって選択するプレーが変わってきます。その状況判断とプレーの選択については少年サッカーをしている年代から少しずつ、訓練をする必要があります。
だから指導者は、『判断ミス』の原因を見つけることが大切なのです。
技術的なミスは改善しやすい
少年サッカーの子どもたちのミスが判断ミスではなく技術的なミスであれば、トレーニングで改善しやすいですよね。キックが出来ないのであれば繰り返し、キックを行えば良い。
技術は必ず身につきます。そのためには『回数 × 意識』をすれば良いのです。
技術を身につけるために子どもたちに意識させるコトは以下の3つです。
指導者は、子どもたちの技術的なプレーを3つの要素で分析すれば、何を改善すれば上手くできるようになるかが解ります。
普段から、ひとつのプレーに対して「なんで上手くいかないんだろう?」と考えて子どもたちのプレーを観ていると出来る子どもやコーチのプレーとの違いが判るようになります。
上手くいっている子どもと上手くいかない子どものプレーの違いを”スピード(強さ)”、”方向”、”タイミング”で比べてみてください。そうすると上手くいかない子どもの改善点を指摘することが出来るようになります。
技術的なミスについては、しっかりと意識をさせ、回数をこなすことで減らすことが出来ます。何を意識すれば良いかは、子ども一人ひとりで違います。指導者が見つけてあげてください。
ひとつずつ改善していく
少年サッカーでのプレーは判断ミスでも技術的なミスであってもそうですが、ひとつずつ改善をして行けばよいのです。ミスをすることが悪いことではなくてミスをそのままにすることが悪いこと。同じミスを出来るだけ減らすことが指導者のチカラではないでしょうか?
技術的なミスの改善を行える指導者は多いですが、判断ミスを改善することができるコーチは少ないと感じます。
子どもたちのプレーを観ていて、そのプレーを選択した理由がわからなければ、「ちょっと教えて。今なんで、そのプレーを選択したの?」と聞きます。そこで子どもが答えられれば、OKだと思っています。
そこで答えられなければ「また聞くからね。ちゃんと考えてプレーしよう」と声を掛けておくことで次から取りあえずのプレーは減ります。
子どもたちがちゃんと考えてプレーをして技術的なミスをした場合は「丁寧にプレーをしよう」と声を掛けておけば良いのです。プレーの選択が間違っていた場合は「こっちのプレーの方が良いと思うんだけど、どうだろう?」と質問をします。
その後でしっかりと理由を説明してあげる。そうすることで少しずつプレーを改善することが出来ます。
少年サッカーでのコーチングは『意識させること』
少年サッカーなどの育成年代では子どもたちに『気づかせること』が大切です。次は子どもたちが気づいたことを意識させること。
どうしても子どもたちは、忘れてしまいます。声の掛け方で気づかせ、意識できるようにしなければなりません。
トレーニングメニューをこなすだけでは子どもたちは上手くなりません。
「このトレーニングはドコドコのチームもやっているメニューなんだ」とか「このトレーニングメニューが出来ればサッカーが上手くなるハズ」なんてことを話しているコーチもいますが、トレーニングメニューなんてそれ程、子どもたちの上達に役に立ちません。
どんなトレーニングメニューでも大切なのはコーチの”声の掛け方”です。単純なトレーニングメニューでもコーチングで子どもたちが気づき、意識をすることでグングンと上手くなっていきます。
具体的な声の掛け方を意識する
先ほどもお話したように改善したい”ミス”の原因を指導者がしっかりと認識することで子どもたちに対して具体的に声を掛けられるようになります。
指導者は子どもたちに気づいて欲しいこと、チャレンジして欲しいことを具体的に説明する義務があります。子どもたちは知らないのです。
「言われたからそうした」では子どもたちが上手くなるハズありません。どうしてそうする必要があるのかを理解できれば、子どもたちが応用したプレーを自ら考えられるようになります。
『意識』すれば原理や理屈がわかる
子どもがどうすれば良いかを考え、気づき、意識をしてプレーをするようになれば、理屈や原理がわかってきます。コーチが教えるのではなく、気づかせること。
教えられたことしか出来ない子どもと自ら考えてプレーする子どもはどちらが上手くなると思いますか。自ら考えてプレーを選択する子どもは、失敗をしても改善できるようになりますよね。言われたことしかしない子どもは勝てないと指導者のせいにしたり、チームメイトのせいにしたり、他人の責任にします。
教えることで子どもは考えなくなってしまうのです。
例えば、奪ったボールを味方ゴール前の場所に蹴ってしまう子どもにたいして「中じゃない!!外だろ!!」と声を掛けていると中でフリーでボールを奪われる危険が全然ない選手がいても、パスをしないでクリアをしてしまいます。
でも「中に入れてボールを奪われたらどうなる?」と考えさせ「相手に奪われたらシュート打たれてしまうね。じゃあどうすれば良い?」と質問をして意識をさせれば、フリーの選手が見えたらパスをして最終ラインからゲームを組み立てることが出来るようになるかもしれません。
原理や理屈がわかればプレーが変わる
サッカーの原理原則や理屈がわかるようになれば「判断をするためには状況を確認しないといけない」や「ゴールを奪うためにはどうすれば良いか」を考えプレーが変わります。
ただ、すぐに出来るようにはなりません。だからといってコーチが教えたり、指示をすると子どものためにはならないのです。
少年サッカーはチームが勝つことを目的にするのではなく、子どもたちが上手くなることを目的にする必要があるのではないでしょうか? 勝つために頑張るのは当たり前ですが、少年サッカーでの指導者の目的は”育成”です。
子どもにサッカーの原理原則や理屈を理解させ、子どもが上手くなるためにどうやって声を掛けるかが大切だと思います。
子どものサッカーが上手くなるために
少年サッカーでは、勝つためにチームを作るのではなく、”サッカーが上手い選手を育てる”ことを目標にした方が良くありませんか。
サッカーが上手い選手が育ったからチームが勝てる。のが理想だと感じます。そのためには指導者が変わり、子どもを変えていくことが必要です。
少年サッカーのコーチングは”気づかせること”、”意識させること”です、ミスを指摘しても子どもは上手くはなりません。
子どもは自分が「なぜ、”ミス”をしたのか」に気づくことが出来ません。なぜかと言えば知らないから。なので指導者が”ミス”の原因をしっかりと把握して子どもにフィードバックをしてあげる。そうすれば、子どもは気づき、意識をすることができるようになります。
少年サッカーの指導者は”ミスの原因”をフィードバックできるような声の掛け方を意識してコーチングを行う必要があります。
あなたの指導は選手のためになっていますか?
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